開始仕訳とは、連結初年度から前期までの連結上の仕訳のうち、資本と投資の相殺消去に関するものと、未実現損益の消去仕訳のように連結上の損益に影響を与える仕訳をまとめたものです。
したがって、売上高と売上原価の相殺消去、売掛金と買掛金の相殺消去のように損益に影響を与えない連結仕訳は開始仕訳には含まれません。
連結決算で開始仕訳が必要とされる理由
個別の企業ごとの決算の場合は、毎事業年度ごと継続的に会計帳簿が作成され、帳簿により当期の残高が翌期へと引き継がれていきます。したがって翌期においては期首残高をもとにその事業年度の取引を記録していけば期末の残高が出ることになります。つまり、帳簿上の連続性が保たれています。
それに対して連結決算の場合は、各個別企業の決算書を合算するとことから各事業年度の連結手続きが始まりますが、連結消去仕訳は帳簿外の会計処理であるため、前期以前に行なった連結消去仕訳等が反映されていません。
また、連結決算はあくまで簿外で行なう会計処理であるため帳簿の連続性が保たれていません。したがって連結決算においては開始仕訳が必要とされます。
開始仕訳の具体例
開始仕訳は連結初年度から前期までに行なった過去の連結上の仕訳のうち、資本と投資の相殺消去に関する仕訳そのものと、未実現損益の消去仕訳で損益部分の勘定科目を連結剰余金期首残高としたものとなります。
したがって前期以前に次のように連結仕訳を行なっていた場合には
(投資と資本の消去)資本金10千円/子会社株式10千円
(未実現利益の消去)売上原価20千円/商品20千円
当期の開始仕訳は次のとおりとなります。
(開始仕訳)資本金10千円/子会社株式10千円
(開始仕訳)連結剰余金期首残高20千円/商品20千円
開始仕訳が必要となる事業年度
連結初年度の翌年以降に連結決算書を作成する場合には毎年開始仕訳が必要となります。