グループ内で利益を上乗せして販売した商品が、期末にまだグループ内の在庫として残っていると、その利益はグループの外に売れていない「まだ実現していない利益」です。連結決算では、この未実現利益を消去します。
この記事で分かること
- 未実現利益を消去する理由
- 練習問題の解答(3つの仕訳)
- ダウンストリームとアップストリームの違い
- 税効果と期首在庫の処理
内部利益とは、連結グループ内の内部取引で発生した利益をいいます。
連結グループを単一の組織体としてみた場合には連結グループ内取引による利益はモノの移動により生じた単なる価格差にすぎず、それを連結グループ外に販売して初めて利益が実現するといえます。
したがって連結決算書の作成過程においては、この未実現利益を消去する必要があります。具体的には、連結決算日現在にいずれかの連結会社の資産となっている棚卸、固定資産、有価証券に係る内部利益が相殺消去の対象となります。
未実現利益の消去具体例
親会社P社が連結外部のA社から100で仕入れた商品に10の利益を上乗せして子会社S社に110で販売した。この場合におけるP社、S社それぞれの処理は次のとおりであり、
P社
| 売上原価 | 100 | 現預金 | 100 |
| 売掛金 | 110 | 売上高 | 110 |
S社
| 仕入高 | 110 | 買掛金 | 110 |
なおかつ連結決算日現在S社はこの商品をグループ外部に販売していないため、S社の在庫となっている。また連結決算日現在代金の決済は未済みである。
この場合の連結消去仕訳(内部取引の相殺消去、債権債務の相殺消去、未実現利益の消去)はどうなるでしょうか?解答はページ下部にあります。
ANSWER具体例の解答
P社がS社に販売した110は内部取引、期末の売掛金・買掛金110は債権債務として相殺します。さらに、S社の在庫110に含まれるP社の利益10を消去します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 110 | 売上原価 | 110 |
| 買掛金 | 110 | 売掛金 | 110 |
| 売上原価 | 10 | 商品 | 10 |
この結果、連結上の商品は外部からの仕入原価100になり、グループとしての利益は計上されません。
POINTダウンストリームとアップストリーム
| 区分 | 販売の方向 | 未実現利益の負担 |
|---|---|---|
| ダウンストリーム | 親会社 → 子会社 | 全額を親会社株主が負担 |
| アップストリーム | 子会社 → 親会社 | 持分比率に応じて親会社株主と非支配株主が負担 |
アップストリームで、親会社の持分が80%、未実現利益が10の場合は、消去に加えて次の仕訳で非支配株主に20%を負担させます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 非支配株主持分 | 2 | 非支配株主に帰属する当期純利益 | 2 |
TAX税効果と期首在庫の処理
- 税効果:未実現利益を消去すると、連結上の利益が減るのに税金は個別で払っているため、税効果会計で繰延税金資産を計上します(未実現利益×売り手の税率)。
- 期首在庫:前期末の在庫に含まれていた未実現利益は、開始仕訳で利益剰余金期首残高を減らし、当期に外部へ販売されたものとして売上原価を減らして実現させます。
- 固定資産:グループ内で土地や建物を売買した場合も、売却益を未実現利益として消去します。
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【連結消去仕訳】持分法の適用
理解ルートSTEP 2/3連結消去仕訳の考え方を理解する実務の手順はこちら → 子会社は決算書を合算して連結しますが、関連会社や連結しない子会社には持分法を適用します。決算書は合算せず、投資の金額を相 ...